教員からの転職先を元教師が解説!教師を辞めたい人へのおすすめは?
「教員を辞めたい、でもその後の転職先が不安」
そんな思いをあなたは抱いていませんか?
教師から転職する場合、その業務の特殊性から、適した転職先を見つけるのは難しいと言われます。
しかし、先生という仕事に必要なスキルを見ていくと、世間で言われるほど、つぶしのきかない職業ではありません。
この記事では、教員のスキルを生かせるおすすめの転職先を紹介していきます。
教員からの転職に生かせるスキル・強み
教師を辞めて転職や起業したいと考えたときに、決まって出てくる言葉に
「教師の仕事はつぶしがきかない」
つまり、教員のスキルで生かせる転職先がないという意味です。
果たしてそうでしょうか?
世間のイメージではそうかもしれませんが、実際にはオールマイティなスキルに触れているのが教員なのです。
【教師が転職・起業に生かせるスキルや強み】
- 教えるというスキル
- 人前で話すスキル
- 子どもから保護者まで幅広い年代を相手にするコミュニケーション能力
- 面談のスキル
- 教材を作る能力
- 文章を書く能力
- 文章を読む能力
- 最低限のPCスキル(ワード、エクセル)
- 雑務能力(提出物のチェック、採点など)
- 人の特性を見抜く能力
- 授業をデザインするスキル
- 根気強さ、忍耐力
いかがでしょうか?
もっとたくさん出てきそうですが、このようにして、いろいろな業界に通じるスキルに思っている以上に触れていることがわかりますよね。
これらが実際に得意かどうかではなくて、何かしらの形で経験しているということ自体、強みになります。
そもそも他の業種では、このようなスキルに触れることもない場合が多いわけですから。
ですから、これから転職や起業を考えている人は、教員の経験そのものが大きな強みになるということは、ぜひ覚えていてほしいです!
教員からのおすすめの転職先
それでは、教員のスキルや強みを踏まえて、おすすめの転職先を紹介していきます。
・教師のスキルをそのまま生かせる仕事
・まったく異業種の仕事
この二つに分けて紹介していきます。
教師のスキルを生かせる転職先
【私立学校教員】
ここでは公立教員の転職を中心に話をしていますので、公立から私立への転職を上げておきます。仕事内容そのものは両方とも教員ですから、ほとんど変わりません。
私立学校で働くメリットは、転勤がないということが一番でしょう。
働く場所が変わらないということは住宅購入といった将来設計は立てやすくなりますし、毎年一定のレベルの生徒が入学してくることになりますので、準備がしやすいということが挙げられます。
デメリットは、その学校に合わなかった場合、転勤がないため、その学校を辞めて、別の学校の試験を受け直さなければならないということです。
また、一般的に、公立学校よりも、私立学校のほうが忙しく、授業の担当時数も私立のほうがかなり多くなる傾向にあります。
公立、私立の違いが大きく関わる高校の教員の転職先として候補にあがりやすいと言えます。
【学習塾講師、予備校講師】
これは最も教員の仕事に近い転職先になるでしょう。ある程度、学習意欲の高い生徒が受講すると考えられますから、教科指導に集中しやすいと言えます。
ただ、教員よりも結果が求められることになりますし、勤務時間が夕方や夜間が中心になるということは頭に入れておく必要があります。
【家庭教師】
家庭教師も教員の教えるスキルをそのまま生かせる転職先になります。また、集団に対する一斉授業とは異なり、個別に、その生徒に合わせた指導ができます。
ただし、これも学校が終わった放課後の時間や夜間、休日の仕事になりますし、生徒や保護者との相性が、重要な要素にはなります。
【教育分野の出版社】
出版業界で教材制作に携わるということになります。実際、現役の教員が、教科書や参考書の制作に関わるということはよくあることですので、抵抗なく候補に挙げることができると思います。
教員の経験があるということは、現場の声を反映させた教材制作が可能になりますから、転職する際の強いメリットとなります。
ただし、仕事内容自体は教員の仕事とは全く異なりますし、制作だけでなく営業をすることあるということは踏まえておく必要があるでしょう。
【学習支援員】
学習支援員というのは、担任の先生や教科の先生の授業中の補助をする仕事です。昨今は、生徒児童も多様化して、ひとりの先生では目が行き届かないことが増えてきました。そういったクラスの中で、生徒児童の手助けをしたりするのが学習指導員の役割です。
職場自体は学校という場ですので、教員と変わりませんが、責任という意味では、担任教諭や教科担当教諭に比べれば、軽くなります。
ほとんど環境が変わらない小学校の教員の転職先として候補にあがりやすい職種です。
しかし、学習支援員が必要な学校やクラスということは、それだけ手がかかるということですから、大変になることは予想されます。あまりに軽い気持ちで、ちょっとしたお手伝いをするという感覚であれば、やめておくべきでしょう。
【放課後児童支援員】
学童クラブなどの学童保育施設で、学校の放課後の時間帯に児童のを預かり、遊びや宿題の面倒を見たりするお仕事です。
共働き夫婦も増加してますから需要もありますし、最近は、学童保育に学習塾を組み合わせたサービスを提供する民間企業も増えてきています。
学童保育だけでなく、教科を教えることも可能になりますので、そういった企業を転職先の候補にするという選択肢もあります。
内容的には小学校の教員にとって転職先にしやすいと言えます。
【大学教員】
誰にでもなれるわけではありませんが、小学校、中学校、高校それぞれで実績を残したり、研究を続けたり、書籍を出版したりしている先生が退職して大学の講師、助教、准教授になるケースは少なくありません。
教授になるという場合は、余程の実績がないと難しいと思いますが、少しづつ段階を上げていくことは可能です。
大学教授とのつながりがあって、声がかかるというケースもよくあるようです。教員の仕事を続けながら大学教員になるための勉強をするのは大変だと思いますが、自分の専門分野の研究に没頭したいという人には向いているかもしれません。
全くの異業種への転職先
【旅行会社】
旅行会社と教員というと意外かもしれませんが、修学旅行という大きなイベントが学校にはあります。それ以外にも、部活動やいろいろな行事で移動を伴うときには必ず旅行会社が関わっていますから、つながりは強いのです。
教員が旅行会社に転職するとしたら、営業職になります。
実は、修学旅行の契約を取ったり、部活動などの遠征の担当をしたりするうえで、教員時代の経験や人脈はかなり強いアピールポイントになるのです。
【保険会社】
保険会社への転職の場合も営業職となります。旅行会社と同様に教員時代の人脈を生かせるというのがメリットです。
ただ、保険となると個人のお金の話になるため、逆にメリットがデメリットになる場合に注意が必要です。
【飲食店経営】
これは教員に限った話ではなく、脱サラしてラーメン屋を始めるといった話は民間でもよくあります。
それは教員でも同様で、ずっと前から夢に描いていたことを退職して挑戦する人はいます。
【IT関連会社】
教員というと、IT関係は苦手というイメージを持っている人も多いと思いますが、今はひとりひとりにパソコンが割り当てられる時代ですし、ITの知識が高い人も珍しくはありません。
やはり理系の教員に多いですが、教員を辞めて、IT関連の企業に転職する人は少なくありません。
教員は転職ではなくてフリーランスで起業するのもおすすめ
最後に、実はもっともおすすめの教員の退職後のキャリアをお伝えします。
それは雇用されるのではなく、個人事業主として自分で稼ぐという道です。自分でビジネスをするとなると壁が高そうに聞こえますが、これからは自分で稼ぐ時代と言われているのは事実です。
副業が当た前になりつつある世の中ですから、起業して自分で稼ぐという発想も必要になると思います。
教師を辞めたい人にフリーランス起業をおすすめする理由
教員を退職するというのは、教員という仕事が合わないから辞めるわけですよね?
- 組織の中で統一性を気にしながら指導する仕事
- 公務員という制約のある仕事
- 雇用されるという立場の仕事
- 時間を切り売りする仕事
こういった性質とは異なる働き方がしたくて教員を辞めるという選択をしたのですよね?
そうであれば、働き方自体は教員とは変わらない別の企業に普通に転職するのではなく、別のキャリアチェンジを考えるべきなのではないでしょうか?
ですから、根本的に働き方を変えたいのであれば、自分のビジネスを構築して働くことをおすすめします。
もちろん、簡単に稼げるということでもありませんし、雇われていないわけですから、すべて自分の責任で稼いでいかなければならないという厳しさはあります。
起業するとなると、とてもハードルが高そうに聞こえますが、今はそれはどんどん下がっています。
そして何より、教員としてのスキルが生かせる分野がビジネスには多く存在するのです。
前半でお伝えした「教員のスキル・強み」の中でも、特にこれからビジネスをするうえで、必須のスキルは以下のようなものです。
- 教えるスキル
- 面談スキル
- 幅広い年齢層に対するコミュニケーション能力
- 教材を作るスキル
- ライティングスキル
- 根気強さ
これらをすでに経験している教師という仕事からは起業しやすいと言えます。
なお、副業からはじめることができない教員は退職したうえで起業ということになります。計画、準備、自己投資、適したサポートをつけるなどして、備えておくことによって、実現につながります。
「教師の副業について」の詳しい記事はこちら↓
教師の強みを生かせるおすすめの業界
教員の起業におすすめの業種をいくつか紹介しておきます。
【WEBビジネス】
WEBビジネスといっても幅広いですが、「ブログ」を通してのビジネスは教員にはおすすめです。
まず、文章を書く、教材を作るのは教員にとっての日常の業務ですから、それを生かせるビジネスは取り組みやすいと思います。
ブログ記事を積み重ねて、アフィリエイトやコンテンツを販売するというところにつなげていくことで収益化ができます。
また、YouTube に関しても、教員であれば専門性のある内容を伝えることができますから、はじめやすいと言えるかもしれません。
ブログやYouTube は参入障壁が低く、ライバルが非常に多いため、記事や動画を量産する必要があり、時間はかかりますが、それを続ける根気強さというのも教員の特性かもしれません。
【カウンセラー、コーチング系ビジネス】
日常的に児童生徒の悩みなどを聞いている教員であれば、カウンセリングやコーチングなどのビジネスも向いていると言えます。
ただ、専門的な知識は学ぶ必要がありますし、 集客なども関わってきますので、マーケティングなどビジネスの知識も合わせて学んでいく必要はあります。
働き方や生き方そのものを大きく変えたいという人はフリーランスで起業するという選択肢を視野に入れてみては?
教員からの転職は難しいと言われる理由
冒頭でも「教員はつぶしのきかない職業」とよく言われることに触れました。
なぜ教員からの転職が難しいと言われるのか?それについて述べておきます。
よく言われるのは次のような理由からです。
- 民間企業の採用時期と教員が通常退職する3月末と時期が合わない
- ビジネス経験が乏しい
- ビジネスコミュニケーション能力の不足
- ITスキル
このあたりが挙げられることが多いですが、実際にあるとすれば一つ目の採用時期の問題くらいだと思います。
それ以外は、よく言われることではありますが、あまり現実的な話ではないと考えてよいでしょう。教員に限ったことではないので、これからどうにでもなると前向きにとらえておくことをおすすめします。
教師の転職を成功させるための考え方
教員からのおすすめの転職先について述べてきましたが、転職を成功させるためには、「自分で考える」ということが大切です。
情報はあくまで参考です。こうすれば100%成功する方法、正解などありません。ですから、自分の頭でしっかり考えることで教員の転職は成功に近づきます。
- 自分がどのような生活をしたいのか
- どのような働き方をしたいのか
- 具体的な転職先あるいはビジネス
- 資金管理、新しいキャリアでの収入の見通し
- 必要な準備、在職中にできる準備
これらを順番に全体を通して考えていくことが重要です。
教員が転職や起業したいと考えたとき、いきなり資格を何か取ろうと考える人も多いと思います。
そうではなくて、上記のようなことを見据えたうえで必要なら資格を取得すればよいと思います。
ぜひ、自分の退職後を中長期的なスパンで考えてみてくださいね。