多言語学習者から学べ!英語学習の方法とコツ
今、あなたは英語の学習を楽しめていますか?
また、自分の英語の上達を実感していますか?
現在、英語の学習方法に関して、さまざまな情報を得ることができます。専門的な理論、科学的なアプローチ、流行りの学習方法などなど、あげればきりがないのが現状でしょう。
そんな中で、とりわけ初期段階にある英語学習者にとっては、英語学習にかける時間よりも学習方法やノウハウを探す時間にかける時間のほうが多いという人もいるという、本末転倒な状態になっているのが現状のようです。
学習方法は大事です。しかし、それよりも、もっと根本的なところに英語学習の本当のコツがあるようです。
そのヒントを「ポリグリット」と呼ばれる多言語話者たちが与えてくれています。
ポリグロット(多言語話者)ってどんな人?マルチリンガルとの違いは?
「バイリンガル」という言葉はよく耳にすると思います。二か国語を話す人ですよね。「リンガル」が「言語」の意味です。「バイ」は「bicycle」の「バイ」で「二つ」の意味です。自転車は車輪が二つですよね。
「トリリンガル」は3か国語。「トリ」とか「トライ」は「三つ」の意味ですね。「トライアングル」(三角形)を思い浮かべていただければわかりますね。
そして、「マルチリンガル」は「多言語話者」になります。「マルチ」というのは「複数」とか「たくさん」の意味です。
最近はあまり「マルチタレント」なんて言葉は聞かなくなりましたか?俳優、歌手、モデル、コメンテーターなど何でもこなすタレントをそう呼んでいます(いました?)よね。
さらに、多言語話者や多言語学習者に対して「ポリグロット」という言葉が使われているのを聞いたことはあるでしょうか?
「ポリグロット」と「マルチリンガル」は両方とも多言語を話す人の意味で使われている呼び名ですので、「ポリグロット=マルチリンガル」と捉えられることが多いようですね。
ちなみにこの二つは語源が異なります。
ポリグロットがギリシャ語由来で、マルチリンガルがラテン語由来です。
語義としては両方とも多言語、複数言語を話す人という意味でほぼ同じです。
ただ、イメージとしては
マルチリンガルは、生活の中で必要性があり、複数の言語を話す人
ポリグリロットは、趣味や楽しみの中で、多言語を学習し習得している人
という感じになるでしょうか。でも、明確な線引きはないと考えていいと思います。
いずれにせよ、文字通り、たくさんの言語を操る、まさに外国語学習の成功者と言える人達です。
その「多言語話者」「多言語学習者」は、たくさんの外国語をどのように学習し、どのように習得していくのでしょうか?何かコツがあるのでしょうか?
その答えは僕たちの英語学習のヒントになるはずです。
実は、意外にも当たり前のようで、見落としがちな点に大切なポイントがあるようです。
多言語話者のリディア・マホヴァ(チェコ)が語る言語習得のための学習方法とコツ
チェコ出身の多言語話者であるリディア・マホヴァさん(Lydia Machova )(チェコ)という女性をご存じでしょうか?
彼女は9カ国語を話す多言語メンターです。9か国語ですよ!
彼女のTED Salonの人気のスピーチ「新しい言語を学ぶ秘訣、The secrets of learning a new language」の中でリディア・マホヴァさんは、ポリグロットが外国語学習をどのように取り組んでいるのかをプレゼンテーションしています。
多言語学習者である彼女自身が、ポリグロット達が「どのように多言語を習得していくのか?」「何かコツや特別な学習方法はあるのか?」「共通点はあるのか?」という疑問を抱き、それを調べてみた結果、得られた内容が述べられています。
英語学習者にとっても当たり前のようで、忘れがちな、また、できそうだけど、実践できていないことを思い出させてくれます。
大いに参考にしたいものです。
リディア・マホヴァさんのTED Salon でのスピーチはこちら↓
『新しい言語を学ぶ秘訣、The secrets of learning a new language』
Enjoyment:一番大事なことは「楽しいと思える方法」で学習すること
リディア・マホヴァさんが最初にあげたことは「楽しいと思える方法」で学習するということです。
「なんだ、そんなこと?」と思った人はいませんか?
では、実際に楽しいと思える方法で英語の学習を続けられていますか?
一生懸命、学習方法探しばかりに時間を取られ、英語の学習そのものに時間をかけていない人はとてもたくさんいるようです。そんな人には多言語学習者に関する話をぜひ、参考にしてください。
リディアさんは、世界中のポリグロットが集まるイベントで、各国のポリグロットたちにどのように学習をしているのかをインタビューしたと言います。
「学習初日から話す」
「発音の真似から入る」
「頻出の単語を500個覚える」
「まず文法書を読む」
など、100人に聞けば、100通りの答えが返ってきたと言います。
彼女自身もスペイン語を学ぶときには、「ハリーポッター」をスペイン語で時間をかけて読んでみたり、ドイツ語を学ぶときには、ドラマ「フレンズ」をドイツ語で見たり。
学習方法は、それぞれバラバラでしたが、一つの共通点に気づきます。
皆が嬉しそうに、楽しそうに自分の学習方法を語ったのだそうです。つまり、自分が「楽しめる方法」で学習していることに気がついたのです。
「楽しい」から続く、続くから上達するという好循環ですね。
どんなに科学的に効果的だと言われる学習方法だとしても、楽しくなければ続きません。続かないということは上達にはつながらないということなのですね。
当たり前のようだけど、楽しむことを忘れていませんか?
Methods:長期記憶のための間隔反復
リディアさんは、楽しいだけでは不十分であるとも述べています。
次に必要なのが、効果的な方法です。
「間隔反復」について触れています。
例えば、たくさんの英単語の意味を覚えるときに、一晩で一気に覚えたものは、そのままにしておくと、すぐに忘れてしまいます。
いわゆる「短期記憶」というものです。
それに対して、「長期記憶」に残したいと思うのなら、数日ごとに繰り返し練習する必要があります。間を置いた反復です。
それを「間隔反復」と呼んでいます。
この「間隔反復」を習慣づけるには、反復学習ができるアプリを活用するとよいと述べています。
今は、英単語であれば、無料でも反復学習ができるアプリはたくさんあります。自動的に復習、反復ができるようにプログラムされていますので、誰でも手軽に、さらには無料で学習できる環境は整っています。
自分に合うものを見つけて、取り組むとよいでしょう。
こちらの記事では、英語学習のおススメの無料アプリを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
System:学習に約束事を取り入れる
続いての原則は、学習に「約束事」を取り入れるということです。
現代の生活の中では、ゆっくりと時間をとって学習する時間はないというのが現実です。
ですが、そんな生活の中にも、自分なりの「約束事」を設けて学習を継続していくことが重要であると述べています。
例えば、
「朝15分早く起きて学習時間にあてる」
「通勤中にポッドキャストを聞いてリスニング練習をする」
「定期的に友人と20分、会話練習をする」
「食事中にYouTubeを見て学習する」
など、大切なのは生活の中に、学習の「約束事」を取り入れるということだと述べています。
スキマ時間を有効に活用するということですね。
Patience:少しの辛抱と成功体験
最後にリディアさんが述べているのは、少しの「辛抱」も必要だということです。
ほんの2ヶ月くらいで、流ちょうに話せるようにはならないが、確実に目に見える進歩は実感でき、そういった少しづつの「成功体験」を重ねることが大切だということです。
少しの「辛抱」の先に小さな「成功体験」があり、また一歩ずつ、着実に上達していけるのです。
リディアさん自身、わからなかった表現がわかるようになったり、読めなかったものが少し読めるようになったという、ほんの小さな成功体験を積み重ねた結果、一つの言語の習得につながり、そして、また別の言語習得に意欲がわくのだそうです。
僕たち人間は弱い生き物ですから、「1週間で、1ヶ月でできるようになる~」などというキャッチコピーに目がいってしまい、楽をして何かを手に入れようとしてしまいがちです。
それが可能なものもあるかもしれませんが、外国語、英語学習においては、そのような近道はないと心得たほうがよさそうですね。
多言語学習者は特別な頭脳の持ち主なのでは?
ここまでの話で、
「多言語話者、ポリグロットは、何か国語も使えるんだから、特別な頭脳を持っているんでしょ?」
「誰にでも当てはまる話ではないでしょ?」
と考える人もいるでしょう。無理もありません。僕たちの多くは英語一つの習得にも苦労しているわけですから。
ところが、このことに関しても、リディアさんは明確に否定しています。
彼女の友人の一人は、アイルランド・ゲール語を11年、ドイツ語を5年学校で学びましたが、卒業するまでどちらも全く話せませんでした。
彼は21歳になるまで「語学の遺伝子がないから 外国語が話せない」と思っていたそうですが、それから彼は自分なりの学習法を見つけてからは、今では10もの言語で会話をすることができると言います。
また、別の友人は10年間学校で英語の勉強をしましたがクラスでの成績は最低レベルでした。 どの言語であろうと絶対できるようにならないと思われていたということです。
それから、彼も自分なりの方法を見つけてから、たった10年の間に、11もの言語を 流暢に話せるようになったと言います。
このことは言語習得は「才能」ではないということを意味しています。
多言語学習者は、特別な才能を持っているのではなく、自分なりの学習法を見つけ、それを楽しんで継続しているに他ならないのです。
僕たち英語学習者にとって、この多言語学習者の例は勇気を与えてくれるものになります。
多言語学習者の学習方法を自分の英語学習にとり入れよう
多言語話者、多言語学習者と聞くと、何か途方もない優れた頭脳の持ち主であり、一般人には到底及ばない人々なのではないかという印象さえあります。
ところが、実際には、ひとつひとつの言語を着実に習得していくという、とてもシンプルな習得法であることがわかります。
リディア・マホヴァさんがスピーチの中で述べていたことも、決して真新しいものではありません。
学習者が、それぞれのやり方を楽しむことによって、継続を生むことができるのです。
楽しむだけでなく、押さえるべきところは押さえる必要はあるのかもしれません。
しかし、何よりもまず、多種多様な情報に振り回されず、自分に合った学習方法を見つけ、楽しんで継続していくことからはじめる、これこそが一番の近道かもしれません。
会話するのが好きな人は、間違いなど一切恐れず、はじめからどんどん英語での会話を楽しみましょう。
会話はちょっと苦手で気が進まないという人は、好きなストリーの本を英語で読んでみるのはどうでしょうか?
自分はバリバリの受験英語で学習するのが熱中できるやり方だ、という人もいるかもしれません。
最終的なゴールは、「英語を楽しんで使う」ということになるのかもしれませんが、そこまでの道のりは人それぞれであっていい。
素晴らしい考え方ではないですか?
では、早速、自分なりの楽しい道のりを探しましょう!