教師の仕事が辛い、辞めたいと考えている人へ元教師が伝えたいこと
あなたはきっと、教師という仕事の理想像を思い描きながら猛勉強し、ようやく先生という立場を手に入れることができたと思います。
ところが、実際に教員の仕事をしてみると、いつからか「辛い」「辞めたい」という感情が生じてきて、毎日、出勤するのが憂鬱になっている、そんな状態なのではないでしょうか?
でも、教員として泣き言を言ってはいけないと自分に喝を入れ、我慢しながら仕事を続けている状態でもあるかもしれません。
そんなあなたが少しでも楽になるように、元教師である僕が「教師が辛い」との向き合い方をお伝えしていきます。
教師が辛いと思ってしまう理由
まず、あなたが「教師の仕事が辛い、辞めたい」と思う理由は何でしょうか?
人それぞれの理由があると思うのですが、おそらく次の二つに分けられると思います。
- 長時間労働による心身の疲労感
- 対人ストレス
この二つについて具体的に述べていきます。
長時間労働による心身の疲労感
教員の仕事には残業代というものがありません。教職調整額というものはありますが、気休め程度にしかなりません。
先生の仕事は授業をすることがメインではなりますが、それには準備が必要ですよね。予習をしたり、授業案を練ったり、ワークシートを作ったり。
ところが、教師は授業だけをしているわけではありません。ざっと思いつくものを挙げてみました。
- 提出物のチェックなどの雑務
- 児童生徒との個別の声掛け、面談
- 行事の準備、資料作成など
- 公務分掌の仕事
- 補習授業
- 部活動
- 何か問題があったときの対応
書かれたものを目にしてもらうと、実感できると思うのですが、あなたはこれだけのことを授業の合間にしているのです。
もちろん、学校種別によって異なる部分もあると思いますが、これらを授業の合間にこなすということは、授業の準備はいつやっているのですか?
そうですよね。きっと自宅に持ち帰って授業準備などに追われていることも多いのではないでしょうか?
そして、それが習慣化してしまうと、思うように授業の準備ができなかったり、いろいろな雑務に追われたり、とにかく目の前のことをぎりぎりこなす日々になってしまう。
そんな自分にストレスを抱え、「何のために教師になったのか?辛い、辞めたい」となってしまい、心も身体も疲労が抜け切らない状態が続いてしまっているのではないでしょうか?
でも、ここで覚えておいてほしいのは、
「それはあなたのせいではないということ」
学校現場の今の仕組みがそうさせているだけです。それともうひとつ、
「あなたが一生懸命だということ」
教師で精神的に参ってしまったり、うつ病になってしまう人は、大抵、責任感が強く一生懸命な人がほとんどですよね。
どうでもいいと思っていて、いい加減に仕事している人はそのような状態になりませんから。
ですから、まず自分自身の頑張りを認めてあげてくださいね。
対人ストレス
あなたも少なからず、こんな悩みを抱いていますよね?。
- 生徒指導や教科指導に限界を感じている
- 理不尽な生徒や保護者の対応
- 非協力的な同僚
- 守ってくれない管理職
これらは根本的には対人関係のストレスからきています。
『嫌われる勇気』で有名なアドラー心理学では、
「あらゆる種類の悩みは対人関係からくるもの」
と述べていますよね。
長時間労働の問題は身体的な疲労から精神的な疲労へと伝わってくる感じですが、対人関係のストレスはそれ自体が直接あなたにストレスを与えますから、その分、悩みも深くなりがちです。
教員の激務に耐えられなければ辞めるという選択は間違いではない
「教員を続けていくのが辛い」となったときに、やってしまいがちなのは、
「自分で頑張って乗り越えようとする」ことです。
一見、正論のようですが、それを積み重ねた結果、自分が限界にきていることに気づくことすらできない状態になることが多いです。
つい昨日まで、普通に働いていると思っていた誠実な先生が、突如、職場に足が向かなくなり、ご家族が休職を申し出に来るというパターンを何回か見てきました。
これは、頑張り続けているうちに、自分の状態が判断できなくなってしまい、病休や休職に入ってしまうのです。
難しいとはいえ、それでも自分で早めに対処することができれば、教師を続けるにせよ辞めるにせよ、自分の意志でその後の展開を考えていけると思うのです。
もし、あなたが教員の激務に耐えられず、教員を辞めたいという選択をしたとしても、それは少しも間違っていません。
手遅れになるよりは早めに行動していけば、うまくいかなければまた対処のしようがあります。
ただし、その前に・・・
まず病休や休職という制度を遠慮せず活用する
教員には病休と休職という制度があります。
もし、精神疾患などで診断書が出ているのであれば、まず、病休や休職を利用しましょう。
一定期間、一定の給与が保証されますから遠慮することなく利用しましょう。そこまであなたは頑張ったのですからね。
病気休職 ⇒ 最長3年間、最初の1年間は給与の8割支給、その後は傷病手当金として給与の2/3支給
ためらうことなく病気休暇や病気休職を利用し、そこで収入を得ながらしっかり休養しましょう。
そして、先のことを考えられるようになったら、教員として復帰できそうか、違う道を選ぶかをゆっくり考えたらいいと思います。
ただ、焦りは禁物です。最優先は心身を整えるために休むことですからね。
辞めると決めたなら、タイミングを考える
もし「辞める」と考えるなら、辞めるタイミングを考えてみるとよいと思います。
休職に入っている人であれば、あまりこだわる必要はありません。おそらく学校も代わりの教員の手配などは済んでいるはずですし、心づもりもしているはずですので。
勤務しながら「辞める」と決めた人は、可能な限り年度末の退職が良いと思います。また、校長にも早めに伝えておくことで、誰にも迷惑をかけずに退職することができますので、余計な心配が減ります。
そうは言っても、自分の中に強い思いがあるのなら、年度の途中の退職になっても仕方ないと思います。人の心配よりも自分のこれからの人生を優先しましょう。
辞めるタイミングについてはこちらの記事で詳しく解説しています↓
『教員を退職するならどのタイミング?年度途中ならいつの時期がベスト?』
教員を辞める手順、辞め方
教員を辞めるとなったときの手順や辞め方ですが、正直、面倒なことはありません。
・早めに校長に伝える
・退職届の所定の用紙を提出する
実はこのくらいです。退職届と言っても、決まった様式を埋めて押印するだけですから、あっという間です。
詳しくはこちらの記事をぜひ参考にしてください↓
『教員が中途退職する方法を元教師が解説【おすすめの転職先も紹介】』
自分の心身の健康を保つことが最優先
「教師の仕事が辛い、辞めたい」と考えているあなたに、僕が伝えたいのは、
「何を大切にしたいのか」
ということです。
「教員という肩書のあなた」を優先したいのか、「あなたらしく働けること」を優先したいのかということです。
我慢や頑張ることが美徳とされますが、現実はそれが度を越せば、心身の不調につながるだけです。
もちろん、教員としてのあなたや、これまで頑張ってきたことを否定するつもりはありません。
子どもたちに向き合う教師という素晴らしい仕事を否定するつもりもありません。
でも、今、あなたが「教師が辛い、自分に合っていないのでは」と考えているのなら、それは間違いではないと思います。
「教員を辞めるという選択」も「続けるという選択」もどちらも間違いではありません。
大切なのは、
「自分の心身の豊かさや、より幸せな人生を最優先した選択」
であるということです。
下の記事もあなたの幸せな人生を考えるうえで参考にしてみてください↓