教員の仕事はブラック?それともブラックじゃない?
教員の多忙化により、教員の仕事はブラックだと言われることがあります。
また、その一方で、教師の仕事は楽すぎなんじゃないかという人もいるようです。
まず、ブラックの定義は様々だと思いますが、ここでは以下の4点に焦点を合わせてお伝えしていきたいと思います。
- 長時間労働・残業時間
- 残業代が支払われるかどうか
- うつ病などの精神疾患の状況
- 離職率
これらの観点で教員はブラックと言えるか、そうではないかを述べていきます。
教員がブラックと言われる理由
まずは教員がブラックと言われる理由を先ほどの4つの観点から解説していきます。
昨今の教員のうつ病などの精神疾患の状況や長時間労働の問題を考えると、ブラックの状態と言える要素はかなりあります。
具体的に見ていきましょう。
長時間労働・残業時間を学校種別ごとに考える
長時間労働、残業時間の問題を学校種別に述べていきます。
【小学校教員の場合】
小学校教員の特性として、常に児童とともに行動しなければならないということが挙げられます。
やはり、初期の義務教育ということで、小学校の教師は拘束される時間、児童に張り付いている時間が長いように思います。
当然、給食も一緒に食べることになりますし、休み時間ですら児童の様子を観察していることが多くなるでしょう。
そうなると空き時間がなくなるため、授業の準備は残業や自宅へ持ち帰って仕事をするということが習慣化している傾向があるようです。
そのため、多忙感を感じやすく、休みたいのに休めないといった悪循環を引き起こすことになりがちです。
【中学校教員の場合】
中学校の教員も小学校の教員と同様に、生徒に張り付いている時間や拘束時間が長い傾向にあります。
特に小学校と違い、部活動の時間が加わりますので、さらに勤務時間が長くなり、残業時間も長くなりがちです。
朝7時には職場に行き、帰りは深夜11時になるという働き方をしている中学校教師の話をよく耳にします。
そうなってくると、完全にブラックとしか言いようがありませんね。
【高校教員の場合】
高校教員の場合、小学校・中学校教員と異なり、生徒に張り付く時間が減ったり、空き時間が増えたりするという点では、一般的には楽になると言われています。
しかし、勤務する学校によっては生徒指導上のトラブルや保護者からの理不尽なクレームなどに追われる場合があります。
また、高校になると部活動の時間が長くなったり、土日に遠征の引率をしたりと、授業以外の負担も増える傾向にあります。
教員には残業代というものがない
教員には残業代というものがありません。
その代わりに教職調整額というものがあります。これは月給の4%上乗せするので、残業手当は支給しませんよというものです。
早朝に出勤し、深夜に帰宅するような教師にとっては、教職調整額は気休め程度にしかならない額になります。
休日に出勤した場合の手当はあっても学生のアルバイトの時給にも満たない額です。
こうした状況から教師はサービス残業や持ち帰り残業が常態化しているのが現状です。
教師の残業代については記事で詳しく解説しています↓
精神疾患で病休になる教師は年間5000人もいる
教員の仕事は「ストレス」を抱えやすいものであることは確かです。
多種多様な子どもたちを相手にするのはもちろん、最近は良識のない保護者の対応にかき乱される例も増えています。
さらには、現場の状況に合わせてというよりは、トップダウンで目新しいことが現場に入ってきますので、ストレスはどんどん増すばかりです。
年間でおよそ5000人もの教師が何らかの精神疾患を抱え、病気休暇を取らざるを得ない状況であり、休職、退職へとつながってしまうのが現状です。
離職率は高いわけではないという事実
教員の離職率は、実は民間含めた全体の離職率と比べれば、かなり低いです。
H30年度の公立学校教員がおよそ1,102,000人です。
それに対して、普通退職をした教員がおよそ6,500人程度です。
ですから、教員の離職率は0.6%~0.7%になります。
民間の離職率がここ数年は14%~15%ということを考えれば、教員の離職率がいかに低いかお分かりいただけるでしょう。
(参考データ)
『厚生労働省・平成 30 年雇用動向調査結果の概況』より
なぜ、離職率がこれだけ低くなっているのかというと、
- 教員、公務員は安定しているから辞めたらもったいないという意識
- 病休や休職に入っても、無理な状態で復帰をしようとする教員が多い
- 辞めても転職先などが見つからないと思っている
こうした背景が関わってきます。
病休者が多い状況なのに離職率が低いということは、それだけ辞められない、辞めてはいけないという状況であるということを示唆しているのです。
心身ともに限界を超えて教師の仕事を続けた結果、気づいたときには療養に専念しなければならない状況になってしまいます。そして次のステップを前向きに思い描くことができないとうい悪循環に陥りがちです。
教師が楽でブラックではないと言われる理由
ここまでは教員の大変な部分、つまりブラックの部分をおつたえしてきましたが、ここからは「教員、楽すぎ」という部分を確認してみましょう。
- 勤務校によっては勤務時間通りに働くことが可能で土日もある
- 結果を厳しく求められることはほぼない
- 時期によっては楽になる
- 休みを取りやすい
- 拘束時間さえ守れば給料が保証される
- ボーナスや退職金が今のところそこそこの金額がもらえる
これらは、勤務校によっても異なりますし、その先生自身の状態、状況に応じて変わってきます。
当てはまる人、当てはまらない人の両方がいて、人それぞれで変わってくる要素です。
教員はブラックとブラックではない両方の面があるのが事実
全体的に見ると、教員の仕事はブラックに見えてはきます。しかし、小学校、中学校、高校と学校種別が異なれば、働き方が少し変わってきます。
また、同じ種別であったとしても、たまたま配置された勤務校がブラックということもあり得ますし、逆にとても楽になるということも考えられます。
ただ、早朝から出勤し、深夜に帰宅する言う人は実際にたくさんいますので、やっぱり教師はブラックだと思ってしまいます。
結局、その本人がどう思えるかということが大事ですね。
教員の仕事はブラックにもなり得るし、ブラックとは言えない楽な状況になることもある
制度の改善と現場の割り切りが必要な時代になっている
今後、教員のブラックの問題については次の二つの側面から対策していく必要があります。
- 「働き方改革」などの制度の改正
- 割り切って定時出退勤する習慣作り
現在、「働き方改革」が掲げられ、閉庁日を設定するなどして少しずつ変化してきています。
後者の自分で割り切った働き方を習慣化するということも大事です。
僕自身もそうでしたが、ひととおり仕事が終わった後でも、とりあえず勤務時間が過ぎるのを待つという習慣で動いていました。
まずは勤務時間を短くするために数日間、周りも気にせず、定時で帰ってみるということも必要ですね。
忙しすぎて、なかなか取り組む余裕がない人も、その中でも何か一つ自分のために妥協できるものがないか探してみるだけでもいいと思います。
教員はブラックだと感じ、違う人生を歩みたい人には起業もおススメ
ここまで、教師の仕事のブラックな面と、逆に楽だと言われる面をお伝えしてきました。
人それぞれの状況によって感じ方は異なるようです。
しかし、教師という子どもの成長に関わる職業ですから、先生こそが安心して、やりがいを持って教育に携わっていただきたい。そして、その環境が整うことを期待したいです。
ただ、どうしても教師の仕事が自分には合わないという人もいるでしょう。やりがいを失い、もっと自分を生かせる道で仕事をしたいと考える人もいるでしょう。
それは先生だからどうだということはなく、誰でも抱く可能性のある感情です。もし、本当に新しいことに挑戦したいという気持ちがあるとしたら、それも一つの選択肢であってよいと思います。
その場合、僕はいわゆる「転職」ではなく、
「起業」
をおススメしています。
教師の経験やスキルは、実は起業に役立つものがたくさんあります。以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね↓