可算名詞と不可算名詞とは?その違いと簡単な見分け方を解説!
英語を学んでいくと、日本語とは全く異なる発想や感覚、仕組みがあることに気づきます。
そのうちのひとつに「名詞」があります。
名詞は「もの、こと」を表しますから、意味のうえでは日本語と英語は「イコール」の関係があると言えます。
しかし、英語ではその名詞が二つ(二人)以上の場合、’s’ をつけて「複数形」という形で表します。
さらに英語は、名詞によって「数えられる名詞」と「数えられない名詞」というものがあるために、なおさら英語学習者を悩ませてしまうのです。
実は、これ、中学校のときに習ってはいるんですが、はっきり覚えている人はあまりいないかもしれませんね。
そこで、そのモヤモヤをスッキリさせるために、今回は
- 数えられる名詞とは?
- 数えられない名詞とは?
- それらはどうやって見分けるの?
といった疑問にお答えしていきたいと思います!
また、それぞれ一覧表でも示していますので、ぜひ参考にしてネイティブの名詞に対する感覚を感じ取ってみてください。
可算名詞と不可算名詞の違い
まず、はじめに用語を覚えましょう。
・数えられる名詞 ⇒ 「可算名詞」
・数えられない名詞 ⇒ 「不可算名詞」
文字通りですね。英語では可算名詞を “countable noun”、不可算名詞をを “uncountable noun” と呼びます。
英語の名詞は種類を大まかに区別すると、この「可算名詞」「不可算名詞」という2つの種類の名詞があるということを、まずは頭に入れておきましょう。
それでは、可算名詞と不可算名詞の違いを、それぞれの特徴を見ながら確認してみましょう。
可算名詞には複数形(‘s’)があるが不可算名詞には複数形がない
まず使い方として、
・可算名詞には単数形、複数形(sをつける)の両方がある
・不可算名詞には複数形はなく、単数形(元の形)で表現する
ということを押さえておきましょう。
不可算名詞は数えられないわけなので、複数形にはなり得ないということですね。
「数えられる名詞」可算名詞とは?
- 単数形と複数形がある
例)book(本), books - ‘a’ や ‘an’ (不定冠詞とよばれています)が前につく
例)a box(箱(ひとつ)), an apple(リンゴ(一個)) - ‘two’ ‘three’ ‘four’・・・といった数が前につく
例)two pencils(2本の鉛筆), three birds(3羽の鳥) - ‘many(たくさんの)’ ‘a few(少しの、2、3の)’ といった数の大小を表す語が前につく
例)many trees(たくさんの木々), a few days(2、3日)
可算名詞の種類を確認
可算名詞には次の2種類があります。
- 普通名詞
- 集合名詞
「普通名詞」は、「形が決まっていて数えられるもの」と捉えるといいでしょう。
book, desk, chair, car, mobile phone, cup などがそれにあたります。それぞれ一定の形がイメージでき、数えられますよね。
「集合名詞」は、「同じ種類のもの(人)がいくつか(何人か)集まってできた名詞」です。
family(家族), team(チーム), audience(聴衆)などのように単数としても複数としても扱われるものもあれば、 people(人々), police(警察)のように複数としてのみ扱われるものもあります。
※単数として扱われるというのは、be動詞を例に考えれば、集合名詞の後ろに、is, am, are, was がくるということです。また、複数として扱うということは、are, were がくるということです。
「数えられない名詞」不可算名詞とは?
- 単数形で用い、複数形にはできない(’s’ をつけない)
例)〇 money(お金) ✖ moneys - ‘a’ や ‘an’ (不定冠詞とよばれています)を直前につけることができない
例)〇 a piece of advice(助言) ✖ an adivece - ‘two’ ‘three’ ‘four’・・・といった数を直前につけることができない
例)〇 two glasses of water(コップ2杯の水) ✖ two waters - ‘much’ ‘little’ といった量の大小を表す語が前につく
例)〇 much information(たくさんの情報) ✖ many information
不可算名詞の種類を確認
不可算名詞は次の4つの種類を押さえましょう。
- 物質名詞
- 抽象名詞
- 固有名詞
- 集合名詞
【物質名詞】
物質名詞とは「決まった形がなく数えることができない名詞」です。
「金属」「液体」「気体」「材料」などの物質を表します。
例)gold(金), silver(銀), water(水), air(空気), wood(木材), bread(パン), cloth(布)など
一見すると、日本語では数えられそうな名詞でも英語の感覚では数えられない名詞に区別されるものがあるので気をつけましょう。
【抽象名詞】
抽象名詞とは「感情や概念、物事の性質や状態を表す名詞」です。具体的な形がなく、抽象的な意味を持つ名詞なので数えることができません。
例)hapiness(幸福), kindness(親切), homework(宿題), information(情報), advice(助言), news(ニュース), peace(平和)など
【固有名詞】
固有名詞とは「人や土地、建物などの物につけた名前」を表します。
原則、複数形にはせず、固有名詞であることがわかるように大文字で書きはじめます。
The New York Times(ニューヨークタイムズ紙), the British Museum(大英博物館), the Pacific(太平洋), the Alps(アルプス山脈)のように定冠詞と呼ばれる ‘the’ を伴って表される固有名詞と
Jake(人名:ジェイク), Mars(火星), London(ロンドン), Mt. Fuji(富士山), Times Square(タイムズスクエア(ニューヨークの繁華街))などのように、何もつけずに用いるものがあります。
【集合名詞】
可算名詞として使われる集合名詞ですが、不可算名詞としても使われます。
・可算の集合名詞 ⇒ 同種のもの、人が集まってできた名詞
・不可算の集合名詞 ⇒ いろいろな種類の総称として用いる名詞
不可算の集合名詞の例:
‘clothing(衣類)’ は服や靴などの総称として「衣類」になるので不可算。
‘fish(魚)’ や ‘fruit(果物)’ もさまざまある種類の総称として用いるときは不可算名詞。
「不可算名詞の数え方」の解説はこちらを、ぜひ参考にしてください↓
可算名詞と不可算名詞の見分け方!イメージで区別しよう
可算名詞と不可算名詞を見分けるうえで大事なことは、その名詞を
「具体的で決まった形をイメージできるかどうか」
ということになります。
例えば、「book」「本」と言われたらどんなものをイメージしますか?
takaさん、それはもちろん、四角いペラペラとページをめくれて、字や絵、写真なんかが載っているものでしょ!
そうですよね。「本」だと誰もが同じような形をイメージできますよね?それは数えられる名詞、つまり可算名詞になるんです。
では、「お金」と言われたら何をイメージしますか?
私はもちろん1万円札!
やっぱり!1万円札いいですよね!
でも、人によっては千円札という人もいれば、500円玉をイメージする人もいるかもしれません。
このように、形の定まらない名詞が「不可算名詞」となるわけです。
なるほど、10円玉をイメージする人もいますもんね。
だから money は数えられない名詞なんですね。
では、もうひとつ!「家具」はどうでしょう?
英語では ‘furniture’(ファーニチャー)です。これは数えられる名詞ですか、数えられない名詞ですか?
「家具といえば何?」をイメージすればいいんですよね?
家具といえば、ソファーですよね。数えられそうですね。ちょっと待ってください!
テーブルも椅子も棚もありますね⁉
家具って種類がいっぱいある!ということは、これは数えられない、つまり「不可算名詞」ですね!
さすが数子さん!正解です!
そうやって形をイメージしてみると区別できそうですね。
その名詞が数えられるか数えられないかは、
・具体的な決まった形がイメージできない ⇒ 不可算名詞
というふうに区別して見分けてみましょう!
可算名詞・不可算名詞と「some」「 a lot of」などとの関係性
可算名詞と不可算名詞そのものの区別だけでなく、some, many, much, few, little, a lot of などの表現との組み合わせで迷う英語学習者は多いですので、一覧で確認してみてください。
可算名詞のみに つけられるもの | 不可算名詞のみに つけられるもの | 両方に つけられるもの |
---|---|---|
many(たくさんの) | much(たくさんの) | a lot of(たくさんの) |
few(ほとんどない) | little(ほとんどない) | some (いくつか、いくらかの) any(someの否定形、疑問形、なんでも) |
a few(少しの、2,3の) | a little(少しある) | no(まったくない) |
特に、「たくさん」を表す「a lot of」は可算名詞、不可算名詞両方に使えるということ、「some」は可算では「いくつか」という不定の数を表し、不可算では「いくらか」という不定の量や程度を表す点には注意しましょう。
可算不可算の両方の意味を持つ名詞が実は多い
ここまで、可算名詞と不可算名詞の違い、そしてその見分け方を確認してきましたが、実は英語の名詞は可算名詞と不可算名詞の両方の意味を持つものが多いのです。
「えっ、どういうこと???」
と思ってしまう人が多いですよね。
英語の辞書を引いてみるとわかると思うのですが、可算名詞では「~」、不可算名詞では「~」というふうに両方の意味が書かれている名詞が多いことに気づくと思います。
ちなみに可算名詞、不可算名詞は辞書の中では、「C」・「U」や「可」・「不」という記号で表されているものが多いです。
例えば、「fruit」を辞書で調べてみると。
可算名詞では可算不可算の両方で「果物」と記されており、「総称的な意味では集合的に不可算、食品としては不可算、特に種類を表すときには可算」と説明があります。
少しわかりにくいので、例文を使って説明します。
(果物や野菜は健康にいい)
この文では、「果物というもの」として総称的に使っていますので不可算ということです。
Would you like some fruit?
(果物でもいかがですか?)
ここでは果物をひとつの食品として表現していますので不可算。
The lemon is a fruit, not a vegetable.
(レモンは果物であり、野菜ではない)
ここでは果物の種類としての話なので可算名詞で ‘a’ がついていますね。
可算名詞の一覧
可算名詞の一覧を種類ごとに示しておきます。あくまで一例でしかありませんが、形をイメージしながら確認してみてくださいね。
普通名詞の一覧
airport(空港) | joke(冗談) | sample(見本) |
bank(銀行、土手) | kitchen(台所) | tent(テント) |
customer(顧客) | lesson(授業、教訓) | umbrella(傘) |
envelope(封筒) | newspaper(新聞) | village(村) |
hospital(病院) | package(包み) | window(窓) |
集合名詞(可算)の一覧
単数、複数両方の扱い | 複数のみの扱い |
---|---|
family(家族) | people(人々) |
audience(聴衆) | police(警察) |
class(クラス) | cattle(畜牛) |
club(クラブ) | |
staff(職員) | |
team(チーム) |
不可算名詞の一覧
可算名詞と同様に、種類ごとに不可算名詞の一覧も示しておきます。数えられないという感覚をイメージしながら確認してみましょう。
物質名詞の一覧
air(空気) | rain(雨) | iron(鉄) |
bread(パン) | wine(ワイン) | salt(塩) |
oil(石油) | soap(石鹸) | cheese(チーズ) |
rice(米) | bronze(銅) | coffee(コーヒー) |
抽象名詞の一覧
happiness(幸福) | hope(希望) |
advice(助言) | information(情報) |
beauty(美) | freedom(自由) |
news(知らせ) | luck(運) |
importance(重要性) | fun(楽しみ) |
weather(天気) | knowledge(知識) |
invention(発明) | change(変化) |
laughter(笑い) | damage(害) |
value(価値) | anger(怒り) |
progress(進歩) | equipment(設備) |
集合名詞(不可算)の一覧
furniture(家具) | baggage(手荷物) |
clothing(衣類) | machinery(機械) |
jewelry(宝石) | mail(郵便物) |
fish(魚) | food(食べ物) |
poetry(詩) | music(音楽) |
可算・不可算の両方でよく使われる名詞の一覧
名詞 | 可算名詞の意味 | 不可算名詞の意味 |
---|---|---|
water | 一杯の水(a water) | 水 |
stone | 小石、石ころ | 石、石材 |
wood | 森、林 | 木材 |
paper | 新聞、論文、書類 | 紙 |
room | 部屋 | 空間 |
work | 作品 | 仕事、作業 |
company | 会社 | 同行、仲間 |
(まとめ)見分けるときは形をイメージするのが大切!
結局のところ、可算名詞と不可算名詞の区別は、その単語ごとに決まっているのではなく、その名詞を話者がどのようなイメージで捉えるかによって決まります。
英語のネイティブスピーカーの感覚では、数を認識できない名詞は不可算名詞として使っているでしょうし、数えることができるものと認識すれば可算名詞として使い分けているのでしょう。
数えるられるものなのか、数えられないものなのかという認識自体が日本人と英語圏の人とで異なるので、厳密に可算名詞と不可算名詞を使い分けるのは難しいかもしれません。
まずは、
「具体的な決まった形をイメージできれば可算名詞、できなければ不可算名詞」
という感覚を忘れずに英語に触れるようにしてみましょう。